■ タイチェス ・マックルック (Makruk) を求めて ■

  タイのチェスであるマックルック(Makruk)を調査しに、タイ・バンコクまで行ってきました。タイは近年景気が上向きということで、海外企業の投資による建設ラッシュが相次ぎ、高層ビルが林立するバンコクの風景は、
9年前(1994年)に訪れた時とは全くの別 世界になっていました。ノースウエスト航空の午後便で深夜ドンムアン国際空港に到着し、以前は無かった高速道路でバンコク市街地へ。前述しましたが、車窓から見える高層ビルの群れと整備された道路には、タイ経済の勢いを感じて本当にビックリしました。

 


■ Thaichess Makruk in Bangkok (2003) ■

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建設ラッシュのバンコク。深夜、高速道路の下で、ビル工事が進められる。


 

  翌日は、今回の取材に協力してくれる商社駐在員の方々と打ち合わせを兼ねた食事会へ。夕方頃ホテルのロビーで待ち合わせ、地元の人間も行くという高級タイ料理店へ連れて行ってもらいました。お勧め料理として、ケーン・キオワーン(グリーンカレー)、トム・カーガイ(ココナッツのトムヤンクン)、トム・ヤン・クン、プーパッポンカリー(ソフトシェルクラブを炒めた黄色いカレー)、カーオパット(タイ風チャーハン)、ガイ・サテ(タイ風焼き鳥)、ヤム・ソンムォー(ザボンを和えた辛めのサラダ)、ココナッツアイス、マンゴー、ソンムォー(タイのざぼん)、チョンプー(外見はピーマンのようで、味は水分の多いリンゴのような果 物)などを御馳走に。どれも物凄く美味しく、感動しまくりでした。中でも、ヤム・ソンムォ は、ざぼんの果 肉に辛いサラダがマッチして、初めて味わう不思議な味覚と食感でした。日本ではかなり質素な生活をしているので、このような食の贅沢を味わう機会が無いぶん、感動もひとしおでした。

 

 

■バンコク郊外・クロントーイのマックルック食堂■

 

  翌日、昼頃に待ち合わせて、車でバンコク郊外・クロントーイのマックルック(Makruk)愛好者達が集まるというチャラウー食堂へ。このクロントーイは港のある場所で、ここの港湾労働者や職員達が休み時間や仕事待ちの合間に、食堂でマックルックをしているというのです。途中車外に見える線路沿いのスラムや活気ある市場の風景もクロントーイならではのもの。このような超庶民的な場所でマックルックが行われているというのは、かつてガード下や路地などで縁台将棋が盛んに行われていたのと共通 していると思い、やはりゲームは高尚な文化ではなく、庶民の間で栄えてこその大衆娯楽であると強く認識しました。  



■ Thaichess Makruk in Bangkok (Khlong toey) ■

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  マックルック食堂 『チャラウー・タイレス
トラン』の看板
    店外からもマックルックに興じる人達の姿が
うかがえる
    店内に入るとマックルックに興じる人達が  
     
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タイ料理を食べながらマックルックを打つ

    店内にいるすべての人が、マックルックを
打つか観戦している
   

コン!コン!と、マックルックの駒を打つ音
が店内に響く

 

 

  店内に入り、対局を熱心に観戦していると、ちょうど勝負の終わった人から、「アンタもやるかね?」と、声をかけられ早速対戦することに。日本で何度か打ったことはありますが、本格的な地元プレイヤーと打つのは初めてなので、取り敢えず思いきって行こうと、序盤より積極的に攻めてみました。しかし、私の打つ手打つ手がことごとく封じられ、貴重な駒がどんどんと取られてしまい、まるで相手になりません。特に感心したのが、マー(馬)を使った2〜3手先を読んだ攻撃で、何時の間にか距離を詰められ、二つの駒が同時に狙われる妙手には思わず脱帽するしかありませんでした。あまりの私の素人振りに、物珍しさで集まって来たギャラリーの方々も指導を始める有り様で、自分の未熟さに何とも言えない気分になりました。しかし、まわりの方々の忠告もあって、何とか引き分けに持ち込んだのですが、その実力差は歴然としていました。 

 

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対戦中のマックルック盤
※Thaichess Makrukのルール

    タイで広く行われているマックホットも見せ
てもらいました
    仕事の時間になり、閑散とするレストラン。
夜になるとまた人が集まってくるそうです。
 

 

 対局を終えて、周りの方々にマックルックについてあれこれと尋ねてみると、レストランの目の前にある港の税関職員だという方が熱心に教えてくれました。この方も他の人達と同じように、仕事の合間にここに来ているのだそうです。マックルックはスコタイ時代には既に存在し、タイ国内でおよそ50万人以上の愛好者がいるそうです。最近の若者はビリヤードやテレビゲームばかりしているので、子供の競技人口が減っていて、今は仕事を定年してやるお年寄りが多いとのこと。マックルックは人生そのもので、如何に一つしかない命を守って上手く設計していくかを学ぶので、子供達にも是非ともやって欲しいと言っておりました。現在、賞金付きの大会も開かれ、それを目当てに出る人も多いそうです。因に賞金は、王宮前(サナームルアン)で開かれる有名なタイ伝統スポーツ大会(タイ政府観光庁事務所、タイスポーツ協会などが行う、ムエタイ、タクロー(蹴鞠)、凧上げ、マックルックなど、タイの伝統スポーツを行う大会)で、優勝者は1万バーツ貰えるそうです。(1バーツ・日本円で約3.0円・2003年2月現在)   

 


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