イタリアの伝統的なCarte da gioco(プレイングカード)は、ハート・ダイヤ・スペード・クラブのスートを持つ国際的なトランプとは異なり、「Coppe・コッペ(聖杯)」、「Denari・デナリ(貨幣)」、「Spade・スパーデ(剣)」、「Bastoni・バストーニ(棍棒)」という4スートを10枚ずつ持った40枚構成のカードです。イタリアカードに表される「聖杯・貨幣・剣・棍棒」の4スートは、ラテンスートと呼ばれており、スペインやポルトガルの伝統カードも同じスートで構成されています。このラテンスートのプレイングカードは、13〜16世紀にエジプトやシリア方面 を支配していたイスラム系のマムルーク朝人が使用していたプレイングカードとスート(カップ・貨幣・剣・ポロのスティック)やカード構成が殆ど共通 しており、このマムルーク朝人のカードが、アラビア人によってイベリア半島から製紙印刷技術と共にヨーロッパ社会にもたらされたものであると考えられています。 |
■イタリア・ナポリ地方のカード(Carte
napoletane )札一覧■ |
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■イタリア・ボロ-ニャ地方のカード(Carte
BoloGnese )札一覧■ |
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■ポロスティックと杖と棍棒■ |
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イタリアカードの元であるイスラム・マムルーク朝人のプレイングカードには、「棍棒」や「杖(バトン)」ではなく「ポロのステッキ」がスートとして使用されております。(左図・著者再現)
これは、当時のヨーロッパには、中央アジア発祥で広くアジア圏で行われていたポロの競技が伝わっておらず(欧州に伝わるのは、イギリスがインド侵略して植民地にした後の19世紀に、当地で行われていたポロをイギリス本国に普及させた後。因に日本では「打鞠」と呼ばれ、8〜9世紀に朝鮮半島を経て伝来)、ポロスティックを知らなかった為に、棍棒やバトンとして解釈され姿を変えたものだといわれています。 |
■タロットカードの小アルカナ■ |
タロットカードには、小アルカナという56枚のカードがあり、イタリアのプレイングカードと同じ「Coppe・コッペ(聖杯)」、「Denari・デナリ(貨幣)」、「Spade・スパーデ(剣)」、「Bastoni・バストーニ(棍棒)」というラテンスートの4スートを持っています。タロットカードは、15世紀前半のイタリアで発祥したものだといわれており、ラテンスートのプレイングカードに22枚の大アルカナと呼ばれる寓意画が足されて成立したものだと思われます。 |