■ 世界遊戯紀行


■ 香港の伝統紙牌・十五湖 ■

 日本に花札やカルタという伝統紙牌遊戯があるように、香港とマカオには、十五湖(サップンウー)という伝統的な紙牌が存在する。
  この十五湖なるものは、成人男性の中指大の薄い紙で出来ており、西洋ドミノの元になった骨牌・天九牌と共通 の目をもつ紙牌である。
 
天九牌は北宋・徽宗皇帝(1100年 - 1125年)の宣和時代に成立した牙牌(後世で宣和牌と呼称される)が、隆盛した明の時代に骨牌に変化して形成されたものであり、この天九牌を紙牌にして生まれたのが長牌という種類の紙牌である。
  この長牌は、川牌ともいわれ、今回紹介する十五湖もこの長牌の系統に属している

  長牌の先祖である天九牌は、現在でも中華圏やラスベガスを始めとする
海外のカジノで盛んに遊ばれている。
  しかし、その天九牌より後に生まれた長牌であるが、現在の中国国内においてはプレイヤーの高齢化が進み、衰退の一途を辿っている。



■ 常に賑わう公園の十五湖 ■
 
 


 

 



 

 



■ 十五湖・牌一覧 ■


 

 

 


■ 麻雀屋の大兄 ■

 
 

 

 

 

 



■ 状元● ■

 
■ 越南牌 ■






■ 十五湖・牌の名前と強さのランク
 
 十五湖は、文牌と武牌という構成の異なる二つのスートがあり、文牌は11種類の札が4枚ずつで計44枚、武牌は10種類の札が4枚ずつの計40枚、合計で84枚の札をワンデックとする。
  それぞれの札に刻印された目は、数や形によってそれぞれ意味を含んだ名称が存在する。
  その中からいくつか紹介すると、文牌の中で、目が12×2=24ある札は、天の運行を示す中国24節気が由来となり天と呼ばれ、目が2×2=4ある札は、東南西北という地の4方向を表しているので地と呼ばれる。
  目が8×2=16ある札は、仁、義、忠、信、礼、廉、恥、智、是、非、羞、悪、惻、隠、辞、譲という、人間の行うべき16の道徳を表しているので人と呼ばれる。
  これらの名称は元になった天九牌と全く共通するものである。
  名前だけでなく、牌の強さのランクも天九牌と全く同じになっている。牌の強さ強いランク順に記すと、文牌は、天、地、人、和、梅花、板、斧、紅頭、●●六、高脚七、武牌は雜九、雜八、雜七、六、雜五、三となる。
  このことから、十五湖などの長牌(川牌)が、天九牌を紙にして生まれたものであるとお判り頂けると思う。


十五湖・文牌
 

強さのランクは、天>地>人>和…と、左順に強くなっている


十五湖・武牌
 

強さのランクは、雜九>雜八>雜七>六…と、左順に強くなっている



 



■ 十五湖・釣魚の遊び方 ■

 この十五湖は2〜3人で行う。まず、任意の方法で親を決定し、よく洗牌した後に札を混ぜ合わせ、2人の場合は、各自の手に裏向きで15枚配り、場に24枚を表向きで並べ、残り30枚は裏返しのまま場に置いて山札にする。プレイヤーは各自、同じ目数の場札を手札で取り、山札から一枚引いて同じ目の札があればつけて取る。そして、山札から1枚引いて同じ札があれば付けて取る。これを繰り返し、すべての手札山札を消化した時点でプレイ終了となり点数計算に入る。点数には基準点が設けられており、基準点に達することを過山という。2人プレイの場合は一人が1000点、3人の場合は一人が700点を超えたら過山となる。



 

■ 札の配り方
まず場に4枚、次にプレイヤーAに5枚、場に4枚、プレイヤーBに5枚、場に4枚、Aに5枚、場に4枚、Bに5枚、場に4枚、Aに5枚、場に4枚、Bに5枚という手順で配る。3人の場合は、手札に合計10枚、場札に24枚、山札に30枚。配り方は2人の時と同じように、場に4枚、プレイヤーAに3枚、場に4枚、Bに3枚、場に4枚、Aに3枚、場に4枚、Bに3枚、場に4枚、Aに4枚、場に4枚、Bに4枚という手順で配る。

     
 

■ 十五湖・山札
残った山札は、取りやすいように重ねた状態で広げ、一番上にある札を親から向かって正面 左側の一番下に横向きに差し込む。これは毎回の親の位置を示し確認する為である。

     
 

■ 十五湖・場札
札がすべて配られたら、場にある同じ目数の札を、見分けがつきやすいようにまとめておく。

     
  ■ 十五湖・手順
まず、親から手札を1枚出して同じ目数の場札を取り、山札から一枚引いて同じ目数の札があればつけて取る。取れる札がなければ、出した札や引いた札を場に表にして置くのみである。取った札は自分の前に見えるように並べておく。これを親から反時計回りに繰り返し、手札と山札をすべて消化したら終了になる。
 
  ■ 十五湖・目数
十五湖では、種類の違う札でも、目数が同じならば取ることができる。人で雜八、和で板、長三で六、梅花で紅頭、高脚七で雜七などをそれぞれ取れる。
 
  ■ 目数の例外
十五湖では、3と6、天と地 は、目数が異なっていても、お互いに付けて取ることができる。また、3は6にも変化する札なので、3で長三や銅六も取ることができる。



■ 十五湖・得点法 ■

 十五湖の釣魚には、大魚、中魚、小魚という3種類の札が存在する。大魚は30点、中魚は20点、小魚は10点と、それぞれ得点が分かれているまた、特別 牌として、すべての天九、至尊、梅・紅頭・斧頭を集めると、十二天九、八至尊、三轟といって得点に300点が加算される。過山(基準点数)は、2人プレイの時が一人1000点、3人プレイの時が一人700点で、過山に達したプレイヤーは、相手との差額の二倍の点数を得ることが出来る。



 

■ 十五湖・大魚
大魚の札は、天九、至尊(六と三)、梅4枚、紅頭4枚 、斧頭4枚の組み合わせが出来ていれば、それぞれの札が大魚となり、1枚で30点を得ることができる。天は雜九、六は三がなければ、小魚扱いとなり、1枚が10点で数えられる。また、梅、紅頭、斧頭は、それぞれが4枚無いと1枚が小魚(10点)扱いとなる。また、中魚が1つも無い場合も、大魚はすべて小魚として数えられる。

     
 

■ 十五湖・中魚
中魚の札は、地八、人七、和五の組み合わせが出来ていれば、それぞれの札が中魚となり、1枚で20点を得ることができる。 地は雜八、人は雜七、和は雜五がなければ、一枚が小魚として数えられる。

     
 

十五湖・小魚
大魚、中魚以外の札は、組み合わせになっても、すべて小魚の札として1枚10点で数えられる。また、大魚、中魚で組み合わせが出来ていない場合と、中魚の組が1つもなければ、すべて小魚として数えられる。

     
  ■ 十五湖・大魚
天九・至尊の大魚は、1種類で一組出来ていれば、同種類の別 札もすべて大魚・30点して数えることが出来る。左図では至尊も天九も150点となる。
     
  ■ 十五湖・中魚
中魚は、1種類で一組出来ていれば、同種類の別 札もすべて1枚を中魚・20点として数えることが出来ます。左図では地八が80点、人七が80点、和五が60点となる。
     
  ■ 特別牌・十二天九
天九を12枚集めると、十二天九といって得点にさらに300点が加算される。
     
  特別 牌・八至尊
至尊を8枚すべて集めると、八至尊といって得点にさらに300点が加算される。
     
  ■ 特別牌・三轟(三均)
至尊を8枚、梅・紅頭・斧頭を12枚集めると、三轟、または三均といって得点にさらに300点が加算される。
     
  ■ 十五湖・得点法
得点の計算は、自分より高い点数を取ったプレイヤーに、それぞれ点数の差額払う。
     
  ■ 十五湖・過山
十五湖の基準点数(過山)は、2人の時が一人1000点、3人の時が一人700点で、過山に達したプレイヤーは、相手との差額の二倍の点数を得ることが出来る。例えば、大魚15枚・450点、中魚20枚・400点 、小魚15枚・150点で合計1000点のAと、450点しか取れなかったBでは、差額が550点であるが、Aが過山に達しているので、550×2=1100点の勝ち点を得る事ができる。10点を5円で精算すると、550円の勝ちとなる。


 

 

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