最近、牌九に興味を持っており、実際にやってみたいという方とよく出会います。
そのような方々は、ルールを下調べしていながら、遊ぶ機会がないのでカジノで実戦をするには若干の不安があるという方が多く感じられます。
そのように、牌九に興味を持ち、ある程度調べた人から聞いて判ったことは、日本で耳目に触れる牌九用語の殆んどが、英語の文字表記のカタカナ読みが元になっているということです。
つまり、以下の米国の牌九紹介サイト(http://www.paigow.com/)にあるような、
Gee Joon, Teen, Day, Yun, Gor, Mooy, Chong, Bon, Foo, ping, Tit・Look
Chop Gow, Chop Bot, Chop Chit, Chop Ng
といった英語表記の牌九用語が元になっていると思われます。
そのような英語表記を由来とした牌九用語が、日本でカタカナ語として更に転訛していると思われるので、実際に現地で役立つと思われる元の広東語の読み方と漢字を紹介してみようと思います。
まず比べて見て判ったのですが、英語の表記を見ると、広東語の発音の「a」が「o」、「ii」が「ee」になっています。これは、英語でアウトが「out」と表記される感じなのでしょうか。
実際に英語圏で、元の広東語由来の牌九用語がどのように発音されているかは知りませんが、youtubeにある「Pai Gow Poker」を見ると、「Pai Gow」と表記されて「パイガオ」と転訛しているようです。
この転訛の歴史は個人的に面白く感じるので、以下に記してみます。
まず、元の漢字表記と実際に聞こえる広東語の牌九用語をカタカナで記し、牌九の英語表記と広東語のローマ字表記(ライ式)を比べ、更にカタカナ語に転訛されて一部で呼ばれている用語を記したいと思います。
■「牌九(パイガウ)」pai gau(広東語表記)→pai gow(英語表記)→パイゴウ(カタカナ転訛)
■牌九・文牌
「天(ティン)」 tin(広東語表記)→ teen(英語表記)→ティーン(カタカナ転訛)
「地(デイ)」 dei(広東語表記)→ day(英語表記)→転訛なし
「人(ヤン)」 yan(広東語表記)→ yun(英語表記)→ユン(カタカナ転訛)
「鵝(オ+アのような音)」 ngo(広東語表記)→ gor(英語表記)→ゴア(カタカナ転訛)
「梅(ムイ)」 mui(広東語表記)→ mooy(英語表記)→モーイ(カタカナ転訛)
「長(チャン)」 cheung(広東語表記)→ chong(英語表記)→チョン(カタカナ転訛)
「板(バーン)」 baan(広東語表記) → bon(英語表記)→ボン(カタカナ転訛)
「斧・虎(フゥ)」 fu(広東語表記) → foo(英語表記)→フー(カタカナ転訛)
「屏(ピン)」 ping(広東語表記) → ping(英語表記)→転訛なし
(漢字・広東語表記不明) → tit(英語表記)→ティット(カタカナ転訛)
「六(ロッ)」 luk(広東語表記) → look(英語表記)→ルーク(カタカナ転訛)
※文牌の「高脚七・幺一」と呼ばれる牌の英語表記「tit」の語源が漢字で何なのか判りません。
広東語で「tit」というローマ字表記、鐵(ティッ)も浮かびましたが、中華圏の多くの文献には見当たりません。
高脚七は目が7つの牌なので、広東語の「七(chat)チャッ」が語源となって「tit」と表記されたかと思ったのですが、雑七(Jaap Chat)の牌が(Chop Chit)と表記されているので、七はTitではないようです。
このブログをご覧の方で、tit(高脚七の英語表記)の語源を知っている方がいらっしゃいましたら、お教え頂けましたら幸いです。
■牌九・武牌
「雑九(ザッガウ)」 Jaap Gau(広東語表記)→Chop Gow(英語表記)→チョップ・ガウ(転訛)
「雑八(ザッバー)」 Jaap Baat(広東語表記)→Chop Bot(英語表記)→チョップ・ボット(転訛)
「雑七(ザッチャッ)」Jaap Chat(広東語表記)→Chop Chit(英語表記)→チョップ・チット(転訛)
「雑五(ザッンー)」 Jaap Ng(広東語表記)→Chop Ng(英語表記)→チョップ・グ(転訛)
■牌九・役名
「至尊(ジイジュン)」 zi jun(広東語表記)→ jee joon(英語表記)→ジ・ジュン(転訛)
「寶(ボウ)」 bou(広東語表記)→ bo(英語表記)→ボー(カタカナ転訛)
「王(ウォン)」 wong(広東語表記)→ wong(英語表記)→ウォング(カタカナ転訛)
「槓(ゴン)」 gong(広東語表記)→ gong(英語表記)→ゴング(カタカナ転訛)
「天王(ティンウォン)」 tin wong(広東語表記)→ teen wong(英語表記)→ティーン・ウォング
「地王(デイウォン)」 dei wong(広東語表記)→ day wong(英語表記)→デイ・ウォング
「天槓(ティンゴン)」 tin gong(広東語表記)→ teen gong(英語表記)→ティーン・ゴング
「天高九(ティンゴウガウ)」 tin gou gau(広東語表記)→High Nines(英語用語)→ティーン・ガオ
「地高九(デイゴウガウ)」 dei gou gau(広東語表記)→High Nines(英語用語)→デイ・ガオ
以上のように、広東語発音が英語で表記され、それがカタカナ語として変化し、それが日本で使われる牌九用語になっているのが判ると思います。
これは、上記の様に英語の資料を元にした為であると思われます。
牌九の用語は、漢字で覚えたほうが理解が早いので、これから牌九を始めようとしている方は、漢字で用語を覚えることをお勧めいたします。