今年、最初の記事ですが、中華圏の謎のゲームについて書いてみたいと思います。
その謎のゲームとは、手本引きと類似したもので、シンガポールのTVドラマ「双天至尊(1993年)」の第一話に登場します。
この双天至尊は、天九や牌九の最強役である「双天・至尊」という題名が示す通り、内容が賭博もので、劇中に様々な賭博ゲームが登場します。
賭博ゲームは、シンガポール華僑のルーツである広東・福建由来のものが多く出てくるのですが、その中に日本の手本引きに似たものがあり、長年謎に思っていました。
手本引きは、1〜6までの数字を親が一つ選び、子がそれを予測して賭けるというもので、日本国内では博打の最終駅や究極の賭博などと呼ばれています。
それと同様に、親が象棋の12種類「帥・将・仕・士・相・象・俥・車・傌・馬・炮・砲」の札を一つ選び、子がそれを予測して賭けるというゲームが劇中に登場します。
その場面が出て来る賭場のシーンは、動画開始27:00頃から始まります。
市場の倉庫のような場所で興じられる賭博の数々。
謎のゲームに使われるお金を賭ける台紙。
親が選ぶのは、袋の中に入った象棋のタイル状の札です。
映像を見ると、一見して無作為に札を選んでいるようですが、手で一枚一枚吟味して順番に確認している様が伺えます。
札を選んだら、小さなケースに入れて蓋をします。
親が選んだ後に、子は台紙に賭け金を張ります。
子が台紙に張り終わったら、親は蓋を開けて選んだ札を公開します。
香港の賭博用品店には、このゲームと同じ「帥・将・仕・士・相・象・俥・車・傌・馬・炮・砲」のサイコロが販売されています。
手本引きを骰子で行う賽本引きがあるように、この謎のゲームにも骰子と同じ台紙を使うゲームがあるのではないかと思っています。
手本引きが創られた明治時代には、イギリス人が福建・広東地方から連れて来た中国人労働者を横浜、神戸などの港湾都市で使役しており、これらの華僑労働者から伝わった賭博もいくつかあるといわれています。
この賭博が、港湾労働者と関係の深い近代の任侠組織に伝わり、手本引きのヒントの一つになっていたら面白いなと、妄想が膨らみました(あくまでも妄想ですので…)。
それでは、今年も引き続き、この方面の探求を続けていきますので、どうぞよろしくお願い致します。