禽将棋(とりしょうぎ)は、将棋の九世名人である大橋宗英(1756~1809年)が考案したとされる小型の将棋です。
駒にはそれぞれ鳥の名前がついており、32枚の駒を7×7マスの盤面に配置します。
禽将棋は大橋宗英の創作だと伝えられていますが、実際のところ定かではありません。
禽将棋が最初に記録に現れるのは、天保4年(1833年)、大橋宗英の門人・豊田四郎兵衛によって著された「禽将棋圖解」です。
禽将棋は江戸後期に流行したという説もありますが、各地に広がりをみせたという資料は発見されていません。
しかし、「禽将棋図解」が数点現存しているところから、宗英門下を中心に、一部の愛好家に受け入れられていたと考えられています。
■禽将棋の初期配置図
■禽将棋の遊び方
禽将棋は、基本的には将棋と同じ規則で対局する。
自分の駒を動かし、敵の王駒である「鵬(おおとり)」を詰めたら勝ちとなる。
取った駒は使うことが出来るが、将棋と同じく、動かせない位置に駒を打つことは出来ない。
敵陣の2段目に入ったら、駒を裏返して成ることが出来るが、将棋と違って、成れる駒は必ず成らなければならない。
燕の駒は、直線の同じ筋に2枚まで置けるが、3枚目は三燕といって置くことが出来ない。
千日手は、3度繰り返すまでに、仕掛けた方が手を変えなければならない。
■禽将棋の駒の動かし方
●燕(つばめ)… 前に1マス。雁に成る
●鷹(たか)… 後ろ以外の全方向1マス。鵰に成る
●鶉(うずら)… 配置により左鶉と右鶉がある。
●左鶉(ひだりうずら)… 前・右斜め下自由、左斜め後ろ1マス
●右鶉(みぎうずら)… 前・左斜め下自由、右斜め後ろ1マス
●鶴(つる)… 前後・斜め1マス
●鵬(おおとり)… 王駒。全方向1マス
●雉(きじ)… 前2マス・斜め後ろ1マス。駒を飛び越えることが出来る
●鵰(くまたか)… 前・左右1マス、斜め前・後方自由、斜め後ろ2マス
●鴈(かり)… 斜め前2マス、駒を飛び越えることが出来る