澳門博彩業歴史資料館

澳門博彩業歴史資料館

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昨年(2018年)の6月6日、澳門(マカオ)の老舗カジノ・葡京娯楽場(リスボア)の水晶宮に、澳門博彩業歴史資料館が開設されたので、今年の5月に訪れてきました。

この資料館には、様々な賭博用具やマカオ娯楽産業の歴史が展示されており、まさに澳門賭博博物館というような場所でした。

資料館の入場は無料で、葡京酒店を訪れた観光客が気軽に参観できるようになっています。

館内を入ってすぐの場所には、資料館の説明と澳門娯楽産業の歴史、様々な賭博の紹介などが、大きなパネルで展示されています。

清代の末期に広東地区で流行したという白鴿票の説明。

白鴿票は元々、千字文にある最初の八十文字を鳩に名付け、競争させてどの鳩が勝つかを当てる賭博でした。
後に千字文の八十文字を票に記し、更にポルトガル人にも解るようにアラビア数字を入れて、その中の文字を選ばせる宝くじのようなものに変化しました。

この白鴿票は、現在でも澳門でコンピューター抽選のものが行われており、葡京酒店や街中で目にすることができます。

タイパ競馬場(氹仔馬場)で行われていたという賽馬車。
1980に開始した賽馬車でしたが、それ程人気にならず、1988年に終了したそうです。

館内には、澳門カジノで使われている新旧の様々な用具も多数展示されています。

1976年に設置されたという中国象棋の駒名を使った十二支。

十二支は、象棋の駒名に番号がついた旗を金属容器の中に入れ、引いたものを当てるという賭博です。

旗は十二種類有り、赤旗(帥9・仕8・相7・砲3・傌2・俥1)、黒旗(将12・士11・象10・炮6・馬5・車4)となっています。

配当は、一個数字→10倍、二個数字→4.5倍、三個数字→2.7倍、四個数字→1.75倍、六個数字→0.9倍、黒または赤→0.9倍と説明にありましたが、これが一点賭けや複数賭けの意味なのか、何回か抽選するのかは、定かではありません。

しかし、この賭博は、以前に旧ブログで紹介した
「謎の中華版・手本引き」
と恐らく同種のものなので、賭けた箇所の数により配当が変わっていくものとも思えます。

十二支は、1981年に象棋の旗から数字の付いた25個のピンポン玉を使うものに変化し、新十二支となりました。

使用するピンポン玉は、赤と黒がそれぞれ1~12個、金銭と呼ばれる玉が1個となっています。

配当も判りやすくなり、一個単色数字・金銭→23倍、二個単色数字→11倍、三個単色数字→7倍、四個単色数字→5倍、八個単色数字→2倍、十二個単色数字→1倍、赤・黒→1倍となっています。

澳門にしかないといわれる中華式ルーレット・廿五門。
ルーレットと異なり、盤面が「1~24・★」の25種類となっています。
廿五門は現在、タイパ島の北京王府大飯店(ベイジン・インペリアルパレス・ホテル)でのみ遊ぶことができます。

葡京娯楽場所といえば、世界一熱い牌九の鉄火場(MIN200卓)がある場所なので、牌九(パイガウ)の展示は充実したものとなっていました。

振った後に必ず卓に叩き付ける牌九の打骰器(ダイスカップ)。
この打骰器を卓に叩きつける動作は、私が見た限り、葡京だけでなく、牌九を行う全てのカジノで行われていました。

卓に叩きつける打骰器の他に、大小で使うような骰盅もありました。

骰子の出目を庄から反時計回りに数え、配る牌の位置を瞬時に数える機器。
十五年前に葡京牌九の卓で目にした機器より更に旧型でしたが、作りがしっかりとしていました。

参加者が庄(親)を取る時に使う地庄の札。
この札の上に、牌を勢いよく叩き付けてハンドを公開する動作を、牌九ではよく目にします。

こちらは、カジノ側が親を取る時に使う公庄の札。
参加者が誰も庄を取らない時に使われます。

訓練場で使われるという練習用の牌九牌。
澳門の牌九の卓では、洗牌と開牌(取り出す位置を指定する牌組の型)の牌捌きが洗練されていて、非常に芸術的なのですが、その訓練にはこのような牌が使われているようです。

麻雀牌の筒子を使って牌九をする雀九の牌。
雀九は麻雀牌九の略で、牌九が推牌九と呼称されるように、麻雀推筒子とも呼ばれています。

雀九は以前、回力娯楽場で遊んだことがあるのですが、回力が閉鎖されてしまったので、現在の澳門に存在しているか不明です。

麻雀百家楽(マージャン・バカラ)という名称のトランプ牌。
この牌でどのような遊びが行われていたか不明ですが、名前の通り、麻雀牌型のトランプでバカラをしていたと思われます。

世界各地のカジノにある代表的な骰子ゲームの大小。
大小は、広東語で「大細(ダイサイ)」や「骰寶(セックボー)」とも呼ばれています。

骰子の出目の履歴を示す骰寶路盤連珠。
大と小の他に、同じ目が同時に三個出たものを示す珠もあります。

大小は展示の他、直接遊べる体験コーナーも併設されていました。

カジノではディーラーしか操作できない骰盅も自由に動かすことができます。
普段は重い蓋が被せられている骰盅ですが、蓋を外して骰子を転がせるので、どのように骰子が転がっているか解るようになっています。

魚蝦蟹を取り入れた「魚蝦蟹・大小」で使用する器具も展示されていました。

この魚蝦蟹・大小は、大小で使用する骰子の目に魚蝦蟹ダイスの図柄を当てはめたものです。

基本的に大小と同じなのですが、骰子が「1魚・2蝦・3瓢箪・4貨幣・5蟹・6鶏」となっており、チップを置くレイアウトの一番下の部分が、数字の代わりに魚蝦蟹の図柄となっています。

澳門にしかないといわれる番攤(ファンタン)。
遊び方は、山積みになった沢山の白いボタンや銅銭を金属のカップですくい取り、それを4つずつ分けて、最後に何個余るかを当てるというものです。

これらの番攤は、かつて使用されていた旧式の番攤で、賭け方が現在よりも単純なものとなっています。

旧式番攤と新式番攤の異なるレイアウト。

澳門のカジノで使われた様々な籌馬。

「クラップス(Craps)」は、中華圏では花旗骰と呼ばれています。

「ブラック・ジャック(廿一點)」で使われる「カード・シュー(Card Shoe )」は、中国語に直訳され、牌靴と呼称されていました。

こちらは、歴史を感じさせる鉄製のカード・シュー。

バカラでカードを配る「バカラ・パレット(Baccarat pallet)」の中国語名は、送牌掌となっていました。

バカラ・パレットは、7人用・9人用・14人用の三種類がありました。

最後は、葡京娯楽場を背景に記念撮影することができます。

この澳門博彩業歴史資料館は、澳門の賭博文化の全てが詰まったような場所なので、澳門の葡京娯楽場を訪れた際には、是非とも参観することをお勧めいたします。