木曽大桑村・須原地区の花札技法「須原花」

中信地方の新聞社・市民タイムス木曽支局の記者Hさんより、木曽郡大桑村須原で遊び継がれている花札技法「須原花」があると教えて頂き、その調査に行ってきました。

訪れた須原は、中山道の木曽路にある十一宿場の一つで、上松宿と野尻宿の間に位置しています。

須原地区では、毎年、冬季レクリエーション大会が開催されており、そこで須原花が遊ばれているというので、Hさんに頼んで役場で特別に参加を許可してもらいました。

今年の冬季レクリエーション会は、2月18日に須原公民館で開催され、多くの地元の方々が集まりました。

公民館の外では餅つきが行われており、屋内では花札の他、トランプや麻雀などが遊ばれていました。

須原花は、現地で「花合わせ」と呼ばれており、江戸時代より遊び継がれているといわれています。
主にお年寄りの女性によって遊ばれるのが慣しとなっており、嫁が花札で集まった御婆様たちにお茶や菓子を出すついでに、自然と遊び方を覚えていったそうです。

会場では、まず、熟練者による初心者講座が行われました。
地元の人でも、男衆で花札の遊び方を知る人は少なく、初めて体験した男性は、取り札は横に重ねて種類が見えるように並べるなど、花札の基本から指導されていました。

遊び方の基本は花合わせで、役は部分的に名古屋花と似ているのですが、1〜12月までの札を使った通り札の使用や、場が「小役・中役・本役」と三つに分けられているなど、独特な規則が多い花札でした。

特に「背負い札(しょい札)」と呼ばれる捨て札の法度(制約)がとても素晴らしく、ゲーム内容を奥深いものにしていました。

背負い札は、自分の手に相手の出来役に関係する札があった場合、場に捨てることができなくなるという制約です。
もし、手に背負い札を出す時は、自分の手役に関係する札から捨てていきます。
この時、「手役です」と宣言して札を捨てます。
背負い札でも同月2枚を持っていれば、「2枚持ち」と宣言して出すことができます。

自分の手役を宣言するこの背負い札ルールにより、花札が単なるメクリ運だけではなくなるので、これを他の花合わせ系ルールに適用すると更にゲームとしての深みが増すと思われます。

また、須原花には「御老中(ゴロウジュウ)」という役があり、これが完成すると相手の役を無効にすることが出来ます。

この役は、「テンショ札(伊勢)」を使った遊びや「名古屋花」にも存在し、「五(短冊)・六(桐に鳳凰)・十(短冊)」の札を集めると完成するのですが、須原花では「一(松に鶴)・八(山に月)・十二(桐に鳳凰)」の三枚で御老中となっています。
※名古屋花では、桐が六の札となっています。

13〜17時まで冬季レクリエーションで須原花を楽しんだ後、個人的に家に招いてもらい、熟練者と日付が変わった後の深夜過ぎまで、お茶と間食、談話を挟みながら花札を楽しませて頂きました。

この年季の入った通り札からも、如何に須原花が愛され、遊び継がれて来たかが伺えます。

現地の花札を知りたいと訪ねて来た怪しい男を、初対面にも関わらず手厚くもてなし、家に泊めて食事まで出して頂いた須原の宿場町人情に深く感動いたしました。

今後も一緒に花札を遊んで頂けるというので、機会を見つけて須原を訪れ、地域の方々と親睦を深めていきたいと思っています。

須原花の遊び方は、後日、世界遊戯博物館の日本のゲーム紹介に公開します。
※3/3に日本のゲーム紹介に「須原花の遊び方」を公開しました。